人の話を聞く

悩みを相談されたら、答えを教えてあげるのが良い相談相手だと思っていた。わざわざ相談をするくらいなのだから、相手もきっと答えを求めているはずだ。だから、いかに適切な解決策を示せるかが、相談される人の力量だと思っていた。 ところが先日、「傾聴」…

「障害の受容」

自分の子どもに障害があると言われたら、どんな気持ちがするだろう。自分のせいだと自分を責めたり、ちゃんと育てられるだろうかと心配になったり、将来はどうなるのだろうと不安になったりするだろう。あなたの子どもに障害があるかもしれない、と言われた…

選択と自由

夏は霞が関では異動の季節である。紙切れ一枚でどこへでも行かされるのが宮仕えの宿命。とはいえ、異動前ともなれば、何月何日が「Xデー」(異動日のこと)だとか、誰がどこへ行きそうだとか、さまざまな噂が流れ、今年の異動の対象になりそうな職員は、次は…

影響力の強い人

少し前のNHK「スーパープレゼンテーション」では、子どもがどうやって言葉を発するようになるか、という研究を紹介していた。それによると、子どもが言葉を獲得する過程では、子どもが耳にする言葉が、文章から文節へ、そして特定の単語へと短くなってい…

怖がり

もうすぐ3歳になるうちの息子はとても怖がりで、暗いところはもちろん、虫や花火、雷、高いところなど、およそ人が怖がりそうなものは何でも「怖い」といってしがみついてくる。かわいいなあと思う反面、さすがに最近は、男の子なのにあんまり怖がりなのも…

食事の大切さ

映画「隣る人」を見た。この映画は、埼玉県にある児童養護施設の8年間のドキュメンタリー映画である。解説やナレーションなどは一切無く、施設で暮らす子どもたちの毎日の生活が、たんたんと描かれている。地味ながら、子どもたちと施設職員とのふれあいや…

働き方を見直す8 〜ワーク・ライフ・バランスという言葉〜

「ワーク・ライフ・バランス」という言葉は、世の中にだいぶ定着してきたように思うが、その意味するところは、人によってかなりばらつきがあるように感じる。内閣府の調査によると、平成23年の調査では、言葉の認知度としては5割を超えているが、「言葉も内…

働き方を見直す⑦ 〜プロジェクトX的な〜

NHKの「プロジェクトX」は、仕事に一心に打ち込んだ人たちのドキュメンタリーだ。大きなプロジェクトを成し遂げるためには、必ずといっていいほど、さまざまな困難やトラブルが立ちはだかる。番組に登場する人たちは、それを、仲間と助け合いながら、超…

心の声を聞く②

前回の続き。 デシによれば、人間の感情とは、自分が本来こうありたいと思う姿と、現実の姿とのギャップを表すシグナルだという。例えば、仕事で成果を上げて期待に応えたいが、現実はなかなか成果が出ないと、プレッシャーを感じる。一向に仕事をしない人に…

心の声を聞く①

子どもは感情表現がとても豊かだ。泣いたり笑ったり、怒ったり。そして、「場の空気」を読むことなど全くせず、感情をストレートに表に出す。親が一生懸命子どものためを思って準備しても、嫌なものは嫌。「しない」の一言でばっさり斬られるのは、腹が立つ…

Whatcha gonna do when they come? (ピンチのときはどうすんの?)

アメリカに留学していたときのこと。友人の家で誕生日パーティがあり、クラスメイトが30名くらい集まった。パーティが始まって、いよいよ誕生日ケーキが登場!というところで、大きな誕生日ケーキを運んできたメキシコ人の女の子が、手をすべらせてケーキを…

糸屋の娘

京の五条の糸屋の娘 姉は十八、妹(いもと)は十五 諸国大名は刀で殺す 糸屋の娘は目で殺す いきなり何のことかと思われた方もいるかもしれないが、上の句が何を表しているかお分かりだろうか。「糸屋の娘」というタイトルで中身が分かった人は、かなりの国…

送り出勤のススメ

私は、(周りからはそう見えないかもしれないが、)自分では、精神的な耐性がそれほど強い方ではないと自覚している。比較的割り切ってモノを考える方ではあるが、仕事で嫌なことがあったり、失敗したりすると、後から思い出してストレスを感じることが多い…

手段が目的ランド

「手段が目的ランド(SML)」とは、「大人たちが心ゆくまで手段を楽しむ夢の国」。そこでは、目的がなく生産性が微妙な行為ほど歓迎される。すべてのスポーツは、打ちっぱなし投げっぱなしの蹴りっぱなし。ルールはないし勝負もない。ずっとリフティング…

小沢氏が消費税法案に賛成できない理由

野田総理と小沢一郎氏との対談が物別れに終わった。報道によれば、野田総理が消費税法案への理解を求めたのに対し、小沢氏は、増税の前にやることがあるとして、あくまで法案に反対する姿勢を示したという。会談後、小沢氏は記者団に対し、「政権交代に向け…

祝!ブログ開設一周年

いつもブログを読んでいただき、ありがとうございます。早いものでブログを開設してから、今日でちょうど一年になりました。途中、息切れしそうなときもありましたが、何とか週に一回のペースで更新することができました。これも、皆さんの温かいコメントや…

ギリシャの選挙

デモクラシーの語源は、ギリシャ語の「デモクラティア」であるという。そのデモクラシー発祥の地、ギリシャの選挙が、いま、世界から注目されている。 最大の論点は、ユーロ圏にとどまるために、緊縮財政策を取るかどうか、ということだ。既に先週、一度選挙…

アウトリーチ

アウトリーチとは、英語で、「手を伸ばす、届かせる」といった意味の単語であり、福祉の世界では、「訪問型の支援」をあらわす言葉である。福祉制度は、生活保護に代表されるように、基本的に「申請主義」の建て前を取っているから、福祉サービスを受ける人…

生活保護を巡る議論について思うこと

生活保護の受給者が過去最多を更新し続けていることもあり、最近、生活保護を巡る報道を目にすることが多い。こうした報道やその中での議論について、少し気になるところがあるので書いてみたい。 生活保護を巡る最近の報道で多いパターンとしては、まず、生…

内と外

日本の社会には、「内と外」を明確に区別し、「内」には高い保護が与えられるが、「外」は非典型として冷たく扱われる、という構造がいたるところに見られる。例えば、いわゆる「正規労働者」と「非正規労働者」の問題。「内」=「正規労働者」になることが…

ネットワークとコンテンツ

ネットワーク時代にはコンテンツが重要だとよく言われる。インターネットという基本的に無料のネットワークがこれだけ普及すると、ネットワークそれ自体で儲けることが難しくなり、そのネットワークに乗せられるコンテンツを押さえている人が有利だ、という…

批判を恐れないこと

人から批判されるのは誰でも嫌なものだ。特に、何かを進めようとして、反対の声が上がると、「どうして邪魔ばっかりするのか」、「何で分からないのか」、という気持ちになる。私も、入省してから、さまざまな部署で批判されることがあり、そのたびに、嫌な…

意識の重要性

前々回のエントリー(「ビールゲームの衝撃」)で、思い込みがいかに危険かについて書いた。ビールゲームを体験してしばらく経って、改めて、思い込みを含めた、(潜在)意識の重要性について考えるようになった。 下の図は、ビールゲームを体験した勉強会で…

働き方を見直す⑥ 〜イクメンプロジェクト その2〜

前々回のブログで、「イクメンプロジェクト」が生まれた経緯について書いたが、今回は、そもそもの「イクメン」という言葉について、考えてみたい。 「イクメンプロジェクト」は、かけた予算に比べれば政府のプロジェクトとしては成功したのではないか、と前…

ビールゲームの衝撃

先日、友人の主催する勉強会で、「ビールゲーム」というゲームをする機会があり、大変なショックを受けた。 ビールゲームとは、アメリカのマサチューセッツ工科大学で1960年代に開発されたものだと言われている。プレイヤーは、工場、一次卸、二次卸、小売店…

働き方を見直す⑤ 〜イクメンプロジェクト その1〜

今回は厚生労働省が平成22年度に実施した「イクメンプロジェクト」について、その立ち上げに関わった立場から、その経緯について書いてみたい。 そもそも「イクメン」という言葉は、政府が考え出した言葉ではなく、プロジェクトが始まる数年前に、ある広告会…

ビジョンとは何か②

これまでのあらすじ 「ビジョンとは何か」を考えていた僕。いろいろな本を読んでも、どうもしっくりこない。そんなとき、友人の主催する勉強会で、「政策の制約と限界」について講演をする機会に恵まれる。講演のあと、グループディスカッションに参加した僕…

ビジョンとは何か①

休憩ついでに、ビジョンについて最近考える機会があったので少し書いてみたい。 ビジョンが大切だ、ということをよく聞く。だが、ビジョンが何かということはイマイチはっきりしない。政治の世界では、「ビジョンがない」というのが批判の常套句で、総理の所…

閑話休題〜子育ての素晴らしさ〜

働き方の見直しについて書きたいことはまだまだあるが、少し休憩して、今回は、いまさらではあるが子育ての素晴らしさについて書いてみたい。 はじめにお断りしておくと、私には8歳の長女と2歳の長男がいるが、妻は専業主婦で、率直に言って「おいしいとこ…

働き方を見直す④〜全国のイクメンよ、立ち上がれ〜

厚生労働省は、男性の育児休業の取得率を、平成29年度までに10%とすることを目標としている。だが実績は、ここ数年1%台の取得率にとどまっており、目標達成にはほど遠い状況にある。 正直言って、今年の男性の育休取得率には期待していた。「イクメン」が流…