2013-01-01から1年間の記事一覧

時代の半歩先へ

行政として、法律や制度を改正して社会を変えたいと思うとき、時代の半歩先を目指すことが必要だと思う。ゼロ歩では意味がないし、一歩先では進みすぎて実現が難しいからだ。 私がかつて担当した育児・介護休業法の改正。3歳までの子を持つ労働者に対して短…

自助と自立

少し前になるが、京極高宣先生の講演を聞く機会があった。京極先生は、厚労省の審議会の座長や、国立社会保障・人口問題研究所の所長などを歴任された、福祉分野の大家である。 先生の講演の中で特に印象に残ったのが、「自助」と「自立」の違い、ということ…

児童福祉の現場から⑧ 〜児童虐待の防止〜

全国で悲惨な児童虐待事案が後を絶たない。児童虐待を防ぐため、行政でもさまざまな取り組みをしているが、児童虐待の多くは密室化した家庭で起こることもあって、これを完全に防ぐことはなかなか難しい。 虐待防止の難しさにはいろいろな側面があるが、今回…

児童福祉の現場から⑦ 〜社会的養護の世界〜

「社会的養護」という言葉をご存じだろうか。 「社会的養護」とは、虐待や病気などの理由で保護者に育てさせることが適当でない子どもや、死別、失踪などで保護者のいない子どもに対して、公的な責任として社会的に養護を行うことをいう。 こうした社会的養…

児童福祉の現場から⑥ 〜保育所 vs. 幼稚園〜

以下は、保育所ステレオタイプ保育士(「保」)と幼稚園ステレオタイプ教諭(「幼」)との会話。 保:幼稚園の先生は気楽でいいよね。仕事は2時までで、夏休みもあるし。 幼:最近は預かり保育で夕方まで預かってるし、夏休み中も園を開けてるよ(※1)。そ…

児童福祉の現場から⑤ 〜保育ニーズの把握〜

前回、待機児童数の数え方が自治体によってまちまちであることや、その結果として保育ニーズの把握が的確に行われていないのではないか、という点について述べた。 今回は、その保育ニーズの把握が、新しい制度の中で今後どのようになっていくのかという見通…

児童福祉の現場から④ 〜待機児童の数え方〜

前回、厚生労働省による「待機児童」の定義や、その「待機児童」と実態(実感)としての「待機児童」の差がなぜ生じるのか、といった点について書いた。 今回は、実際に自治体で待機児童をどのように数えているか、ということについて書いてみたい。 このブ…

児童福祉の現場から③ 〜待機児童のナゾ〜

毎年、この時期になると新聞の紙面を賑わすのが待機児童問題だ。今年は、待機児童ゼロを目標にする横浜市の取り組みが話題になった。 「横浜市の林文子市長(66)が公約に掲げている「保育所の待機児童ゼロ」が目前に迫っている。平成22年4月には全国の…

児童福祉の現場から② 〜子育て今昔〜

前回、最近になって虐待の相談対応件数が増えているということを書いたが、では、今と昔を比べると、今は、昔に比べて子育てが大変になったのだろうか。 ミルクをあげたり、オムツを替えたりという子育ての行為それ自体は、今も昔も変わらない(むしろ、調乳…

児童福祉の現場から① 〜子育ての大変さ〜

大分県では、24時間365日、いつでも子育てに関する相談をフリーダイヤルで受け付ける「いつでも子育てほっとライン」という電話相談を実施している。そうした電話に寄せられる相談内容を見ていると、いかに子育てに悩み、苦労している親が多いかということに…

不思議な感慨

ジョギングを走り出すと、わずか5キロの距離でも、先の道のりを考えて、まだこんなにあるのか、といつもうんざりする。でも、そんなことを考えつつ走っていくうちに、いつの間にか半分が過ぎ、気づけばゴールまであと少し、というところまで来ている。どん…

自律性

最近、自律性についてよく考える。きっかけは、デシの「人を伸ばす力−内発と自律のすすめ」という本を読んだことだ。県庁に赴任して管理職になったことや、3歳になる息子と過ごす時間が増えたことも、要因の一つかもしれない。 自律性とは、他人から「させら…