Whatcha gonna do when they come? (ピンチのときはどうすんの?)

 アメリカに留学していたときのこと。友人の家で誕生日パーティがあり、クラスメイトが30名くらい集まった。パーティが始まって、いよいよ誕生日ケーキが登場!というところで、大きな誕生日ケーキを運んできたメキシコ人の女の子が、手をすべらせてケーキをひっくり返してしまった。床には、ぐちゃぐちゃになってしまったケーキの残骸。さあどうする?

 すると、その女の子は、一瞬の間のあと、ものすごい勢いで笑い出した。周囲のクラスメイトたちも、最初はあっけに取られていたが、その子があんまり爆笑しているので、つられて笑い出した。私も、何だかおかしくなってきて、一緒に笑ってしまった。もし、これが日本人だったら、きっと、泣きながら謝る女の子を、みんなが慰めている光景になるだろうな、と思いながら。

 おかしいから笑うのではなく、笑うからおかしいのだ、という説がある。このときも、笑っているうちに本当におかしくなってきた。大勢の目の前でケーキをひっくり返すというのは、実は結構おかしいシチュエーションだ。しかも、その女の子のひっくり返し方が、かなり豪快だったので、余計におかしかった。今これを書いていても、思い出し笑いをしそうなくらい、はっきり覚えている。

 それ以来、私も、飲み会などで物をこぼしたり、こぼされたりしたときは、大声で笑うようにしている。笑っているうちに、本当におかしくなってきて、周りの人たちもつられて笑うようになる。日本人にも、意外と通用するようだ。もちろん、TPOをわきまえる必要があるが、ピンチのときに笑ってみると、案外うまくいくことが多いような気がする。