働き方を見直す②

 前回は、なぜ働き方を見直すことが必要なのか、その問題意識について書いた。
  では、どうやって見直していけばいいのかについて、今回は書いてみたい。

 先日、両立支援に関するイベントがあり、企業にワーク・ライフ・バランスのコンサルティングをしているTさんとお話する機会があった。その中でも特に印象に残ったのが、働き方の見直しがなかなか進まない理由の一つに、労働者の側に深刻なワーク・ライフ・コンフリクト(仕事と生活の対立関係)が発生していないのではないか、ということだった。つまり、多くの労働者が、現在の働き方にそこそこ満足していて、真剣に働き方を変えたいと望んでいる人が少ないので、働き方の見直しを呼びかけても反応がないのではないか、という見方である。

  前回書いたように、働く人の意識と実際の働き方がズレているのではないか、という問題意識を持っていた私には、少々ショックな発言だった。だがTさんの話はそこで終わらない。だからこそ、「イクメン」に注目すべきだ、と言うのだ。深刻なワーク・ライフ・コンフリクトを抱える労働者の典型が、子育て中の男性だ、と言うのである。私はかつて「イクメンプロジェクト」の立ち上げと運営に携わっていたので、それを聞いて、そういう説明の仕方もあるのかと大いに参考になった。

 子育て中の男性のボリュームは、職場にもよるが、実はあまり大きくない。ただ、そこを突破口にして、会社全体の働き方の見直しにつなげていくことは可能性があると思う。そして、そのことは、女性の仕事と子育ての両立というテーマにつながっていく。
  私はかつて、育児休業などを定める育児・介護休業法の改正を担当していたが、そのときの一番の問題意識は、出産した女性の継続就業率をいかにして高めるか、ということだった。そして分かったことは、女性の仕事と子育ての両立支援をするためには、女性の働き方だけでに注目していてはダメで、男性も含めた職場全体の働き方を見直さなくてはいけない、ということだ。子どもを持つ女性の働き方だけを見直そうとすると、結局、「あなたは早く帰らないといけないから、この仕事ね」ということになって、子育て女性だけが特別扱いされることになり、本人にとっても、周囲の労働者にとっても望ましくない結果になる。その意味でも、男性の働き方を見直すことは大切なのだ。

 「イクメン」を切り口に、会社全体の働き方を見直していく。実際、多くの企業・自治体で、子育て期の男性社員向けのセミナーが、研修・社内教育の一環として開催されている。そういった企業・自治体向けのセミナーの開催を事業としているNPOも多くなってきている。私も、ある企業で開催された社内研修を見学させてもらったことがあるが、とても面白い発見がたくさんあった。次回は、「イクメンプロジェクト」の立ち上げに携わった経験も踏まえて、「イクメン」の働き方の見直しについて考えてみたい。

  ・・・やはりこのテーマで書き出すと、書きたいことが次々に出てきて、まとめるのが大変だ。この先一体何回続くのか、私にも分からないw(つづく)